うれしい補助金も。定年後の「街おこし」で利用すべき便利な制度
退職後に、地域に貢献したいという思いで何らかの市民活動に参加するシニア世代の方たちも多いのではないでしょうか? しかしそのような活動には「活動資金」がつきものです。
地域の市民活動事情に詳しいシニアライフアドバイザーの松本すみ子さんが、活動資金の調達に悩む市民の事例を交えながら、意外と知られていない「自治体の補助金」の申請の仕方を詳しく解説します。
悩みのタネは活動資金の調達
定年退職後した人が、地域貢献活動を始めたいと思えば初期費用、活動を継続させるには運営費用と、やはり先立つものはお金。結局、言い出しっぺが自分の懐から出しているという活動も多いのです。
ある60代半ばのリタイア男性は、農作業が好きな人たちを集めて、野菜を育てる活動を始めました。
東京都内にある休耕地をなんとか自分たちの手で復活させ、子供たちに地元で育った野菜を食べてもらいたいという心意気から始めたのです。野菜は一度にたくさん育つので、余った野菜は、老人施設に住むお年寄りにお弁当を提供しているNPOなどに寄付。感謝されていました。
しかし、よく聞いてみると、畑は知り合いから無償で借りているものの、野菜のタネの購入資金はリーダーの小遣いから出ている様子。「趣味にお金を使っていると思えばいい。活動には満足しているから」という答えです。自分が発案者なので、他のメンバーに負担をさせたくないという気持ちもあるようです。
リタイア後の活動は、ボランティア精神が旺盛な人ほど、こうした状況に陥りがちです。しかし、それでは、この人が病気などでお金を出すのが難しくなった時点で活動は終わってしまいます。大事なのは、いかに長く続けられ、役立つ活動にするかということ。
また、こんな例もあります。あるまちづくり活動グループは自分たちの長年の活動と成果を多くの人に知ってもらい、サービスを利用してもらって、さらなる活性化につなげたいと思うようになりました。しかし、使える資金は多くない。どうしたらいいのでしょうか。
そんなとき、会のまじめな活動をよく知っている自治体職員の一言は、まさに神の声でした。
「市民活動の補助金申請、今、受け付けていますよ」。
「そんなのがあるの?」「あるんです!」という漫才のような問答の後、教えられたホーム
ページを見ると、確かに、補助金対象団体募集中のページが見つかりました。
結果、このグループは、活動と利用方法を知らせる冊子を作る費用を出してもらえることとなりました。原稿は自分たちで作りましたが、印刷費をすべて負担してもらえることになったのです。